2018年1月25日木曜日

六甲おろしふいた 後編

続きです

<前回までのあらすじ>
学生ニコライの住むおんぼろアパートでは夜な夜な大音量の音楽が鳴り響く!
が、珍しく静かなある夜、学生ニコライの部屋の扉をたたくノックの音が、、、

・・・
ドアを開けると彼女はボソッとつぶやいた
「・・・・は、いませんか?」
「えっ?」聞き返すと
「この部屋に、忌野清志郎の霊は、いませんか?」
なんですって?忌野清志郎?霊?ってか忌野清志郎ってまだ生きてるし!(当時)
困惑した私は「居ませんけど」と答えた。すると彼女は私の部屋を覗き込み、ニヤッと笑って、帰って行った。

どういうこと?霊感ゼロ人間なので別に霊あるいは生き霊が居たって別にかまいはしないのだけど、、、何なんだ???
でも、変わった人だということは分かり、夜の騒音も腑に落ちる感じだった。

そして、何日か経った夜、また自分の部屋をノックする音が!
当時、自分の部屋を夜に訪問してくる人なんて他に居なかったので、ああ、また彼女だな、と思った。
ドアを開けると、、、やはり彼女だった。
彼女はまたボソッとつぶやいた。
「ワタシ・・・・・してください」
え~っ!?

(続く)
(続き)
「えっ?」
「ワタシを、ヒモに、してくれませんか?」
えっ?ヒモ?
えっなに?どういうこと?
訳が分からず、なぜか「すみません」と彼女に謝って、お引き取りいただいてドアを閉めた。
ヒモって、あのヒモだよな。しかも「ヒモにしてください」だから、自分が稼いで彼女を食べさせるってことだよな。これって一般的な夫婦なんじゃないの?えっ?あれって、逆プロポーズだったの?
衝撃を受けつつも、先日の忌野清志郎の件もあったので、彼女は変わった人なんだと、深くは考えないようにして、その日は眠りについた。
そしてしばらく日は過ぎて、いつの間にやら夜の騒音も無くなった。

当時、アパートの家賃(家賃の一部だったかもしれない)は、毎月、大家さんの家まで払いに行っていた。
大家さんはおんぼろアパートの隣の立派な家に住んでいた。50歳くらいの女性で、優しく、いい意味でお金持ちの余裕が感じられる人だった。家賃を払いに行ったときに、余ったから食べてと大量の冷凍餃子を貰ったこともあった。
家賃を払いに行くと、大家さんが、「あ、そうそう」と話し始めた。
号室の人、この前、お母さんがやって来て、そこのロイヤルホストで話をして、実家に帰ることになってね。彼女、お母さんに黙って家を出てここに住んでたみたい。夜中に大きな音を出して迷惑をかけていたみたいね。ごめんなさいね。もう静かになると思うわ。」

僕と彼女のヒモ生活は幻に終わり、ほっとしつつも、なんだかモヤモヤとした感情が残った。

彼女は六甲おろし つむじ風だよ
どんな顔で振り向きゃいい
RESCUE RESCUE
昔つきあってたのに

つきあってないけどね

(完)

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