(2月16日(日)ゲスト:一龍斎貞山)に行ってきました。
実は当初は、2月10日の「最後の独演会」夜公演(よみうりホール)のチケットが奇跡的に当選したため、「最後の最後の松之丞(淀五郎、でした)が見られるんだから、大混雑しそうな披露興行は行かなくてもいいかな。最初の伯山は日光江戸村あたりで。」なんて余裕をかましておりました。(このあと、日光江戸村はチケット落選...)
ですが、ツイッターで披露興行初日の大行列・大興奮の様子を見たり、先日開催した「問わず語りの松之丞をリアルタイムで聴く会」の参加者の方から参加報告を受けたり、披露興行の舞台や楽屋の様子を伝えるYouTube「神田伯山ティービィー」を見たりしているうちに、自分も行きたくなって居ても立ってもいられなくなり、、、
また、今後も演芸を趣味として生きて行くなら、このきっと伝説になるだろう披露興行に(頑張れば行けるのに)行かなかったら一生後悔するだろう、とも思いました。
またまた、休みのたびに家で録画した松之丞さんの出演番組を見ていたので、我が家の中でも「チケットの取れない講談師」の認知度が上がっており、「真冬に始発電車で新宿に行列しに行く」という奇行(笑)についても、家族から一定の理解が得られたのもラッキーでした。
通常は昼の部と夜の部を通しで見られる末廣亭ですが、この披露興行中は特別に昼夜入れ替え制となっており、朝の10時に夜の部の入場整理券450枚(320番以降は立ち見)を配付し、16時30分から整理番号順に入場、というシステムでした。
自分が行った前日(15日)は土曜日&ゲストが爆笑問題ということもあって、整理券を求める行列が末廣亭を含む区画を2周する、というとんでもない状況でした。良番の整理券ゲットのために絶対始発電車で行こう、と前日は目覚ましをかけて早めに就寝しました。
そして当日、興奮してあまり寝付けず、予定より大分はやい4時前に目覚まし要らずで目が覚めました。
天気予報が悪かったので、暖かい格好に着替えて家を出て、この日まで聴かずにとっておいたCD「最後の松之丞」を聴きながら、始発電車で新宿三丁目の末廣亭へと向かいました。
CDに入っている「鮫講釈」を聴いていると「名人一龍斎貞山の弟子の一龍斎停船」というくすぐりが出てきたので、ひょっとして今日のトリのネタは「鮫講釈」の可能性もあるぞと思いました。
「鮫講釈」は「伯山になったらもうやらない、今日で最後」を何度も繰り返し、「もうやらない詐欺」とも呼ばれ、最後の独演会の昼公演でもかけて、結果あまりウケなかった、といういわくつきのネタですが、伯山先生ならそんな「鮫講釈」を披露目でしれっとやることもあるかも、なんてニヤニヤしていると、あっという間に新宿三丁目駅に到着しました。(この日の翌日に伯山先生が封印していた新作「グレーゾーン」をやって皆びっくり、という出来事があり、自分のこの見込みもあながち的外れではなかったと勝手に思っております。)
駅から急いで末廣亭に向かいましたが朝早いので想定していた出口のシャッターが閉まっていたり、と焦りつつも5:45頃に現地にたどり着くと、行列は第一コーナー(末廣亭前からの行列の最初の折れ曲がり)あたりでした。
行列は、若い人が多い印象で、簡易椅子持参の並び慣れた感じの人も多かったです。
並びながらCDの続きを聴いていると「ニコライさんですよね?」と声をかけられました。すぐには分かりませんでしたが、以前に渋谷らくごオフ会でお会いしたことのあるツイッターの相互フォロワーさんでした。行列の人数を数えていたらしく「ここだと大体50番くらいです。ではまた。」と言って去っていかれました。
しばらく経って、おそらくコンビニから戻って来たそのフォロワーさんからなんとなんと!
チョコレートと使い捨てカイロを頂きました。自分からはお返しに、ブルボンの「羽衣あられ」を差し上げました。(「私も持ってます(笑)」と言われましたが、受け取ってもらいました。)
「このチョコレートは「義理チョコ」ならぬ「義理人情チョコ」であるよ」とか「自分もバレンタインデーは桑原さん側の人間だったなあ」なんてことを考えているうちに小雨が降り始め、、、降ったり止んだりでしたが本格的に寒くなってきたのでカイロを腰に貼り、大変助かりました。
整理券は前倒しで9時から配付されはじめ、自分は整理番号54番をゲットしました。同時に当日入場券3,500円を購入し、近くの松屋で定番のソーセージエッグ朝定食(プレミアム牛皿小鉢付)を食べて、一旦帰宅しました。
行列に並んだのは3時間ちょっとでしたが、CDを聴いたりツイッターを見たりしているうちに時間は過ぎて、それほど苦ではありませんでした。(でも翌日の会社で死ぬほど眠かったので、興奮して気付かなかっただけでやはり体力的にはキツかったんだと思います。)
さて、夕方16時頃、ちょっと早目に新宿三丁目に戻りました。一度行ってみたかった「珈琲貴族エジンバラ」(玉川太福さんや古今亭文菊師匠がよく利用しているとのこと!)へ。自分はタイミングよく席につけましたが、満席の盛況で、ケーキセットを頂いて退店、末廣亭へ。整理番号ごとに並ぶ場所が指定されており、自分の番号の場所に向かうと何だか聞き覚えのある声が...
それは列の整理をしてくれている笑福亭羽光さんの声でした。羽光さんの「ペラペラ王国」や私小説落語はシブラクのポッドキャストで何度か聴いて面白いなあと思っていたのですが、 実際に高座を拝見したことはなくお顔を知らなかったので、「この方が羽光さんかぁ」と感慨を抱きつつ、ますます気分が盛り上がりました。
しばらくすると入場が始まり、自分たちの列も末廣亭の前まで移動して、入場開始となりました。入場してからの席取りバトルがちょっと心配だったのですが、係の人の誘導が完全に番号順で前から順番に詰めて座っていく形式でしたので、杞憂でした。結局自分は6列目のとてもいい席に座れました。羽衣あられ(二袋持ってました)をなるべく音をたてずに食べ、ジャスミン茶を飲みながら、スタンバイオーケー。幕が上がりました。
子ほめ 昇りん
俗曲 小すみ(三味線と尺八と足に付けた鈴!で情熱大陸のテーマを演奏)
粗忽の釘 小笑(笑遊師匠のお弟子さん)
浮世床 小痴楽
コント 青年団
出世の馬揃え 鯉栄(人気弟弟子を持った姉弟子の苦悩ぼやきまくら)
初天神 遊雀(羽衣あられ・ワーゲン・キュレルの屋台)出世の馬揃え 鯉栄(人気弟弟子を持った姉弟子の苦悩ぼやきまくら)
漫才 宮田 陽・昇(この日一番ウケてたかも。面白かった。)
片棒 笑遊(足で床を打ちつけるムーブ健在。次男が万歳しながら袖に消えていき、三男が登場せず。)
片棒 笑遊(足で床を打ちつけるムーブ健在。次男が万歳しながら袖に消えていき、三男が登場せず。)
猫と金魚 寿輔(黄緑色の、冬寒く夏暑いテトロン着物!)
お仲入り
お仲入り
口上(遊雀 松鯉 伯山 笑遊 貞山 寿輔)
瓢箪屋裁き 貞山玉子の強請 松鯉
曲芸 ボンボンブラザース(お客さんの帽子剛速球がツボッた)
宇津ノ谷峠 伯山
トリのまくらで伯山さん「最低の口上でした(笑)こういうのを皆さんの前でいうのも悪いのですが、昨日(爆笑問題)は最高だったんです。」
2日後のTBSラジオ「爆笑問題カーボーイ」生放送にゲストで出演した伯山さんが、「最悪の口上」の実態を結構詳細に語ってくれました。
【書き起こし始まり】
正直、(15日に口上に並んだ)爆笑さんはもう全然ウケてて良かったんですが、翌日に、ちょっと名前出しにくいんですけど、「寄席演芸の人気者が居ない日」があったんですよ。16日、「人気ゼロ」みたいな。(田中:それ言うなよお前)
「こいつ口上並ぶのか」みたいな日があるわけですよ。「キツいなあ」みたいな。でも俺は好きなんですよ。そしたら俺の横にいる笑遊師匠っていう人が俺をずっと可愛がってくれてた人で、結構辛口な人で、そしてその横の横にいる人(寿輔師匠)が結構重鎮の人で、(その二人が)仲が悪いんですよ。(太田:歌丸VS小円遊みたいな?)それはネタで笑点でやってましたけれど。
その笑遊師匠が「コイツは自分のことだけじゃなくて人のことも考えて、講談界のためにやってる清廉潔白な男だ」と。「あの横の端にいるあの男とえらい違いだ」と。最初こそ笑いがありましたけどず〜っと20秒30秒、「私利私欲でロクな落語家じゃない」みたいなのを俺の披露目で!俺の披露目でガチンコ仕掛け始めたの。俺もう関係ないの、そうなってくると。
するとそのさんざディスられた人の順番になるじゃないですか。その人も「笑遊がそんな生意気になるとは思いませんでしたねえ...なんですあの口上は。ええ?最近ちょっと稽古して、そこそこ芸協でウケるくらいの、その程度の者が。よくあんなこと言いましたね...よろしくお願いします。」で、頭下げて。全然オレ関係無い!なんだこの口上!と思って。
(太田:でもそれは見たいな)
(田中:面白いよ)
伯山ティービィー全カットですよ!
そんで仕掛けた方が楽屋でヘラヘラしてんすよ。なんなのこの感じ、と思って聞いたんですよ。ディスられた師匠が帰ったあとに笑遊師匠に、「なんでボクの大事な口上であんなこと言い出したんですか?」って。そしたら「気が付いたら言ってた」って。もう病気なんですよ完全に。太田さんと同じなんですよ。
(田中:お前だよ、お前!)
【書き起こし終わり】
たしかに、翌日公開された神田伯山ティービィーを見たら、口上シーンはかなりの部分がカットされておりました(笑)
私の記憶が確かならば、他にも貞山先生が「時効だと思うので言いますが、先代の五代目伯山先生は楽屋で白い粉を吸ってました。」と危ないエピソードを披露したり、寿輔師匠が「笑遊さん、真打昇進おめでとうございます」とボケたあとに、「伯山」という名前が出てこなくなったり、と、本当にグダグダでした。でも、現場にいてある意味伝説の口上の「目撃者」になれて、よかったとも思うのでした。
興行が終わり、地下鉄新宿三丁目駅に向かうと、自動改札の「ピッ...ピピッ...」という音がお囃子の笛の音に聞こえた、そんな夢のような楽しい一日でした。その後、最寄り駅の日高屋でホッピーを軽く飲って帰宅しました。
(以上です。ここまで長々とお読みいただき、ありがとうございました。)
※2月22日 記事公開
※2月23日 笑遊師匠の演目漏れ等修正
0 件のコメント:
コメントを投稿